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先日、なんとも不思議でうれしい再会がありました。
場所は八王子駅の改札出口。
40年ぶりにお会いする方と待ち合わせをしていました。
待っている間、ちょっとドキドキ……「分かるかな?分からなかったらどうしよう。」と。
だって、あの頃私は20代。お相手は40代の上司の奥様。
40年も経てば、お互いずいぶん変わっているはずです。
ところが、改札を出てきた一人のご婦人を見た瞬間、
私は「あっ、吉田さんだ!」と確信しました。
姿勢、雰囲気――
あの頃の印象そのまま。
一瞬で分かった自分にもびっくりしました。
思い返せば、新卒で就職した頃。
まだ社会人になりたてで右も左もわからなかった私。
穴があったら入りたいくらい世間知らずだった私。
(今でも変わっていない気もしますが・・・・)
ある日上司が言ってくれました。
「よかったら、みんなでうちに来ないか?」と。
今の時代ではあまりないかもしれませんが、当時は上司がグループのみんなを家に招待してくださるというそんなお付き合いが自然にありました。
ご自宅に伺うと、そこにはとても品のある奥様と、賢そうな小学生の男の子。
奥様の手料理は本当に上品で、私の母が作る料理とは大違い。
その頃私は遠慮も何も無く、ガツガツとそのお料理をいただき、酔っぱわない程度に、(そこは自制していたはずと思うけど)お酒もいただいたと思います。
その席を遠めに見ながら、いい頃合いにお料理やお酒を出してくださる奥様の立ち居振る舞いや言葉づかい、今でも心に残っています。
何度か同僚とお邪魔させていただいたあと、上司は本社に転勤され、しばらくしてご病気で50歳という若さで亡くなられました。
奥様とはそれきり。もうお会いすることはないと思っていました。
それが40年の時を超えて、あるご縁からつながったのです。
いつも来てくださる80代の現役歯科医師の女性とお話ししていた時、ふと昔の会社の話になり、
私が勤めていた会社名を言うと、
その方が言ったんです。
「真鍋さん、吉田さん、知ってる?」
「あっ、はい、もちろんです! 私の入社時の上司です」と答えると、
「奥様、うちで長く働いてくださってたのよ」と。
えっ!?と声が出ました。
まさかそんなところで、あのご夫婦のお名前が出てくるなんて。
本当に本当にびっくりしました。
そして、そのご縁から今回の再会が実現したのです。
40年ぶりにお会いした奥様は、80代になられても変わらず上品でやわらかな雰囲気。
あの頃の記憶が、まるで昨日のことのように蘇りました。
私たちはあの頃のこと、また今のことを沢山お話しました。
ご縁って、本当に不思議です。
そして、ありがたいものです。
こうして人と人がつながり直すことがあるんですから。
人生って面白い。
時が経っても、心に残っているものはちゃんとつながっていて、
それがある日ふと、目の前に現れる。
だから、今日の一日も、大切に生きたいと。